研修プログラム

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5.専門研修施設とプログラムの認定基準

[1] 専門研修基幹施設の認定基準

獨協医科大学病院産婦人科は以下の専門研修基幹施設の認定基準を満たしている。

1) 初期研修における基幹型臨床研修病院であること。
2) 同一施設内で他科との連携による総合診療が可能で(少なくとも内科、外科、泌尿器科、麻酔科、小児科(または新生児科)の医師が常勤していること)、救急医療を提供していること。
3) 分娩数が(帝王切開を含む)申請年の前年1月から12月までの1年間に少なくとも150件程度あること。
4) 開腹手術が帝王切開以外に申請年の前年1月から12月までの1年間に150件以上あること(この手術件数には腹腔鏡下手術を含めることができるが、腟式手術は含めない)。
5) 婦人科悪性腫瘍(浸潤癌のみ)の治療実数が申請年の前年1月から12月までの1年間に30件以上あること(手術件数と同一患者のカウントは可とする)。
6) 生殖・内分泌および女性のヘルスケアについて専門性の高い診療実績を有していること。
7) 申請年の前年12月末日までの5年間に、当該施設(産婦人科領域)の所属である者が筆頭著者として発表した産婦人科領域関連論文(註1)が10編以上あること(4頁、註1参照)。
産婦人科関連の内容の論文で、原著・総説・症例報告のいずれでもよいが抄録、会議録、書籍などの分担執筆は不可である。査読制(編集者により校正を含む)を敷いている雑誌であること。査読制が敷かれていれば商業誌でも可であるが院内雑誌は不可である。但し医学中央雑誌又はMEDLINEに収載されており、かつ査読制が敷かれている院内雑誌は可とする。掲載予定の論文を提出することもできるが、申請年度の前年12月31日までに掲載が決まった論文とする。掲載予定の論文を提出する場合は論文のコピーと掲載証明書の提出を必須とする。 
8) 産婦人科専門医が4名以上常勤として在籍し、このうち専門研修指導医が2名以上であること。
9) 周産期、婦人科腫瘍の各領域に関して、日本産科婦人科学会登録施設として症例登録および調査等の業務に参加すること。
10) 症例検討会、臨床病理検討会、抄読会、医療倫理・安全等の講習会が定期的に行われていること。
11) 学会発表、論文発表の機会を与え、指導ができること。
12) 日本産科婦人科学会が認定する専門研修プログラムを有すること。
13) 施設内に専門研修プログラム管理委員会を設置し、専攻医および専門研修プログラムの管理と、専門研修プログラムの継続的改良ができること。
14) 日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会のサイトビジットを受け入れ可能であること。

[2] 専門研修連携施設の認定基準

 以下の1)〜5)を満たし、かつ、当該施設の専門性および地域性から専門研修基幹施設が作成した専門研修プログラムに必要とされる施設が認定基準であり、獨協医大産婦人科施設群の専門研修連携施設(資料4)はすべてこの基準を満たしている。

1) 下記a) b) c)のいずれかを満たす(専門研修指導医がいない下記b)c)の施設での研修は通算で12か月以内とする)。
a) 連携施設:専門研修指導医が1名以上常勤として在籍する。
b) 連携施設(地域医療):専門研修指導医が在籍していないが専門医が常勤として在籍しており、基幹施設または他の連携施設の指導医による適切な指導のもとで、産婦人科に関わる地域医療研修を行うことができる。産婦人科専門研修制度の他の専門研修プログラムも含め基幹施設となっておらず、かつ東京23区以外および政令指定都市以外にある施設。
c) 連携施設(地域医療-生殖):専門研修指導医が常勤として在籍しておらず、かつ、産婦人科に関わる必須の地域医療研修を行うことはできないが、専門医が常勤として在籍しており、基幹施設または他の連携施設の指導医による適切な指導のもとで、地域における生殖補助医療の研修を行うことができる。
2) 女性のヘルスケア領域の診療が行われていることに加えて、申請年の前年1月から12月までの1年間に、a)体外受精(顕微授精を含む)30サイクル以上、b)婦人科良性腫瘍(類腫瘍を含む)の手術が100件以上 c)婦人科悪性腫瘍(浸潤癌のみ)の診療実数が30件以上、d)分娩数(帝王切開を含む)が100件以上の4つのうち、いずれか1つの診療実績を有する。ただし日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会が地域医療のために必要と判断する場合、この診療実績を満たさなくとも、特例で連携施設(地域医療)として認められることがある。
3) 所属する専門研修施設群の基幹施設が作成する専門研修プログラムに沿った専攻医の指導が出来ること。
4) 専門研修プログラム連携施設担当者は、所属する専門研修施設群の基幹施設が設置する本プログラム管理委員会に参加し、専攻医および専門研修プログラムの管理と、専門研修プログラムの継続的改良に携われること。
5) 週1回以上の臨床カンファレンスおよび、月1回以上の抄読会あるいは勉強会を実施できること。

[3] 専門研修施設群の構成要件

獨協医大産婦人科施設群は、基幹施設および複数の連携施設・連携施設(地域医療)からなる。専攻医は6ヶ月以上24ヶ月以内の期間、基幹施設での研修を行う(研修期間が3年を超える場合には延長期間の研修を基幹施設で行うことは可とする)。連携施設1施設での研修も24か月以内とする(研修期間が3年を超える場合には延長期間の研修を当該連携施設で行うことは可とする)。原則として、専攻医は、当該プログラムの募集時に示されていた施設群の中でのみ専門研修が可能である。もしも、その後に研修施設が施設群に追加されるなどの理由により、募集時に含まれていなかった施設で研修を行う場合、プログラム管理委員会は、専攻医本人の同意のサインを添えた理由書を日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会に提出し、承認を得なければならない。
 専攻医の研修に際しては、原則として施設群内の複数施設を年次で定められたプログラムに則って計画的に移動するが、産婦人科領域の特殊性、地域医療への配慮などにより柔軟に運用する。
獨協医大産婦人科施設群は、基幹施設、連携施設共に委員会組織を置き、専攻医に関する情報を定期的に共有するために本プログラム管理委員会を12月に開催する。基幹施設、連携施設ともに、毎年12月1日までに、本プログラム管理委員会に以下の報告を行う。

1) 前年度の診療実績
 a) 病院病床数、b) 産婦人科病床数、c) 1日あたり産婦人科外来患者数、d) 経腟分娩件数、e) 帝王切開件数、f) 婦人科良性腫瘍(類腫瘍を含む)手術件数、g) 婦人科悪性腫瘍(浸潤癌を含む)の診療実数、h) 腹腔鏡下手術件数、i)体外受精サイクル数。
2) 専門研修指導医数および専攻医数
 a) 前年度の専攻医の指導実績、b) 今年度の産婦人科専門医および専攻医指導医の人数、c)今年度の専攻医数、d)次年度の専攻医受け入れ可能人数。
3) 前年度の学術活動
 a) 学会発表、b) 論文発表
4) 施設状況
 a) 施設区分、b) 指導可能領域、c) 産婦人科カンファレンス、d) 他科との合同カンファレンス、e) 抄読会、f) 図書館、g) 文献検索システム、h) 医療安全・感染対策・医療倫理に関する研修会。
5) Subspecialty領域の専門医数
 Subspecialty領域への連続的な育成を考慮して、下記専門医数についても把握しておく。a) 周産期専門医(母体・胎児)、b) 婦人科腫瘍専門医、c) 生殖医療専門医、d) 女性ヘルスケア専門医、e) 内視鏡技術認定医、f) 臨床遺伝専門医、g) 細胞診専門医。

[4] 専門研修施設群の地理的範囲

獨協医大産婦人科施設群(資料4)は栃木県および埼玉県の施設群である。

[5] 専攻医受入数についての基準

 各専攻医指導施設における専攻医総数の上限(すべての学年を含めた総数)は産婦人科領域専門研修プログラム整備基準では指導医数×3としているが、本施設群ではより綿密な指導を行うため指導医数×2とする。本施設群の指導医数の合計は9名なので、当施設群で研修を行える人数として3学年で36名が指導医数からの本研修プログラムの受け入れ可能人数上限となる。しかし、症例数実績からは年間7名のため、3年間では21名が上限となる。この数には、2016年度以前に専門研修を開始した専攻医の数を含めない。
この基準に基づき、本プログラム管理委員会は各施設の専攻医受け入れ数を決定する。

[6] 地域医療・地域連携への対応

 産婦人科専門医制度は、地域の産婦人科医療を守ることを念頭に置いている。専攻医のプログラムとしては、専攻医が地域中核病院・地域中小病院において外来診療、夜間当直、救急診療を行うことや、病診連携、病病連携を円滑にすすめられるようになれば、地域の産婦人科医療を守ることの研修とにつながると考えている。

[7] 地域において指導の質を落とさないための方法

 本プログラム管理委員会は、専攻医に地域医療を経験させることを目的とする場合、専門研修指導医が常勤していない場合であっても、専攻医を当該施設で研修させることができる。ただし、その場合は連携施設(地域医療)、連携施設(地域医療-生殖)の要件(5-[2]-1)-b),-c))を満たしている必要がある。必須研修としての地域医療は連携施設(地域医療-生殖)では行うことはできない。指導医が常勤していない施設の研修においては、専攻医の研修指導体制を明確にし、基幹施設や他の連携施設から指導や評価を行う担当指導医を決める。担当指導医は少なくとも1-2か月に1回はその研修状況を確認し、専攻医およびその施設の専門医を指導する。指導医のいない施設であっても、週1回以上の臨床カンファレンスと、月1回以上の勉強会あるいは抄読会は必須であり、それらは他施設と合同で行うことも可とする。このような体制により指導の質を落とさないようにする。

[8] 研究に関する考え方

(1)産婦人科領域としては、専攻医が研究マインドを持つことが、臨床医としての成長につながると考えている。ただし、3年間以上常勤の臨床医として勤務することが専門医取得の必須条件であり、大学院の在籍や留学等によって、常勤の臨床医ではなくなる場合は、その期間は専門研修の期間には含めない。
(2)医学・医療研究にかかわる倫理指針を理解することは必須である。研修中に臨床研究を行ったり、治験、疫学研究に関わったりするように促す。また専攻医の希望によっては、専門研修に加えて、基礎医学、社会医学、ヒトゲノム・遺伝子解析研究を行うことも考えられる。それらの研究は学会や論文で発表するよう指導する。

[9] 診療実績基準

 獨協医大産婦人科施設群(資料4)は以下の診療実績基準を満たしている。

1. 基幹施設

1) 分娩数(帝王切開を含む)が申請年の前年1月から12月までの1年間に少なくとも150件程度あること。
2) 開腹手術が帝王切開以外に申請年の前年1月から12月までの1年間に150件以上あること(この手術件数には腹腔鏡下手術を含めることができるが、腟式手術は含めない)。
3) 婦人科悪性腫瘍(浸潤癌のみ)の治療実数が申請年の前年1月から12月までの1年間に30件以上あること(手術件数と同一患者のカウントは可とする)。
4) 生殖・内分泌および女性のヘルスケアについて専門性の高い診療実績を有していること。

2. 連携施設

 女性のヘルスケア領域の診療が行われていることに加えて、申請年の前年1月から12月までの1年間に、1)体外受精(顕微授精を含む)30サイクル以上、2)婦人科良性腫瘍(類腫瘍を含む)の手術が100件以上 3)婦人科悪性腫瘍(浸潤癌のみ)の診療実数が30件以上、4)分娩数(帝王切開を含む)が100件以上の4つのうち、いずれか1つの診療実績を有する。
ただし日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会が地域医療のために必要と判断する場合、この診療実績を満たさなくとも、上記条件の総合評価で、連携施設(地域医療)として認められることがある。

3. 連携施設(地域医療)

4. 連携施設(地域医療-生殖)

2.3.4.の詳細に関しては5-[2]を参照

[10] Subspecialty領域との連続性について

 産婦人科専門医を取得した者は、産婦人科専攻医としての研修期間以後にSubspecialty領域の専門医のいずれかの取得を希望する事ができる。Subspecialty領域の専門医には生殖医療専門医、婦人科腫瘍専門医、周産期専門医(母体・胎児)、女性ヘルスケア専門医などがある。Subspecialty専門医取得を希望せず、産婦人科領域のGeneralistとして就業を希望する場合にも、生涯研修の機会を提供する。

[11] 産婦人科研修の休止・中断、プログラム移動、プログラム外研修の条件

1)専門研修プログラム期間のうち、出産に伴う6ヶ月以内の休暇は1回までは研修期間にカウントできる。また、疾病での休暇は6ヵ月まで研修期間にカウントできる。なお、疾病の場合は診断書を、出産の場合は出産を証明するものの添付が必要である。
2)週20時間以上の短時間雇用の形態での研修は3年間のうち6ヵ月まで認める。
3)上記1)、2)に該当する者は、その期間を除いた常勤(註1)での専攻医研修期間が通算2年半以上必要である。
4)留学、常勤医としての病棟または外来勤務のない大学院の期間は研修期間にカウントできない。
5)専門研修プログラムを移動する場合は、日本産科婦人科学会中央専門医制度委員会に申請し、承認が得られた場合にこれを可能とする。
6) ストレートに専門研修を修了しない場合、研修期間は1年毎の延長とする。専攻医は専門研修開始から9年以内に専門研修を修了し10年以内に専門医試験の受験を行う。9年間で専門研修が修了しなかった場合、専門医となるためには一から新たに専門研修を行う必要がある。
7) 専門研修修了後、専門医試験は5年間受験可能(毎年受験する場合、受験資格は5回)である。専門研修修了後、5年間で専門医試験に合格しなかった場合、専門医となるためには一から新たに専門研修を行う必要がある。

註1)常勤の定義は、週4日以上かつ週 32 時間以上の勤務とする。ただし、それ以外でも、中央専門医制度委員会の審査によって同等の勤務と認められれば、常勤相当とできる場合がある。育児短時間勤務制度を利用している場合は、常勤の定義を週4日以上かつ週 30 時間以上の勤務とする(この勤務は、上記2)項の短時間雇用の形態での研修には含めない)。

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