研究・業績


研究班のご紹介Research group


腫瘍班

1. メンバー

三橋 暁   教授
坂本 尚徳  准教授
香坂 信明  学内准教授
長谷川 清志 特任教授

2. グループ・コンセプト

我々腫瘍グループは、常に最新の医学情報をもとにEBM (evidence-based medicine;根拠に基づく医療) の実践を心掛けています。すなわち,各婦人科がん治療ガイドラインに準拠した標準的治療法と集学的治療(手術、薬物療法,放射線治療)を行っています。集学的治療のためには他科と綿密な連携が特に重要となります。治療方針の決定のための病理診断を病理診断科と十分に議論し、放射線診断医・治療医との連携により適応を十分吟味したうえで系統的放射線治療や血管内治療(Interventional Radiology: IVR)を実践しています。
一方、非常に稀な疾患や再発がんの治療など、EBMの十分な適応が困難なケースに関しては、臨床情報に基づいたカンファランスの徹底化により個別化治療を行っています。さらに、2018年6月に構築された「がんゲノム情報管理センター」との緊密なネットワークにより、患者さん個々の遺伝子情報に基づいた「がんゲノムに基づいた治療戦略」(Precision Medicine)も開始しています。

3. 診療の実際

1)根治性を目的とした拡大手術:

進行卵巣がんに対しては,播種・転移巣の可及的切除を目的として広範囲腹膜切除術や横隔膜strippingまたはfull-thickness resectionを行い,消化器外科や泌尿器科との連携で他臓器合併切除を行っています.再発癌がんに対しては骨盤除臓術などの難易度の高い手術も行っています.外陰がんに対しては,美容面とQOLを重視した外陰再建法を形成外科医との連携で行っています.

2)妊孕性温存治療:

子宮内膜異型増殖症や初期子宮体がんに対しては高用量黄体ホルモン療法を行っています.早期卵巣がんに対しては十分なインフォームド・コンセントのもとに妊孕性温存手術を行っています.また,早期子宮頸がんに対しては,子宮の温存のための広汎子宮頸部摘出術を実施しています.さらに妊娠後には「周産期グループ」との連携で周産期管理にあたります.

3)機能温存手術:

早期子宮頸がんに対する広汎子宮全摘出術の際には神経温存術式を採用しています.また,当院の倫理審査委員会の承認のもと,早期子宮頸がん,子宮体がんおよび外陰がんに対しては,センチネルリンパ節生検に基づくセンチネルナビゲーション手術により系統的リンパ節郭清の省略を実践しています.それによる手術時間の短縮,出血量の減少と術後のリンパ浮腫の軽減に努めています.

4)低侵襲手術:

子宮筋腫や卵巣腫瘍などの良性疾患に対する腹腔鏡手術を「生殖・内分泌グループ」と合同で行っています.異所性妊娠や卵巣腫瘍茎捻転などの急性腹症に対しても内視鏡手術で対応しています.粘膜下子宮筋腫や内膜ポリープに対しては経頸管的子宮鏡下切除術(Transcervical resection: TCR)を行っています.難治性の過多月経に対しては,マイクロ波子宮内膜アブレーション(microwave endometrial ablation: MEA)も行っています.骨盤臓器脱(pelvic organ prolapse: POP)に対しては当院の「排泄機能センター」と合同で,年齢・病状に合わせて最適な手術方法を選択・実践しています.
また,婦人科がんでも腹腔鏡手術やロボット支援手術は低侵襲手術として患者さんの負担軽減に寄与します.昨今保険適用とされた「早期子宮体がんに対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術」や「子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術」についても手術開始を準備中です.

5)臨床研究:

現在までのエビデンスの多くは,患者さんの協力による臨床試験から得られた成績に基づいて決定されています.多くの臨床上の疑問点に関しては,現在様々な臨床試験グループ(JGOG,GOTIC,TGCU,SGSG,KCOGなど)で臨床試験が行われていますが,我々も積極的に臨床試験に参加しています.

6)治療後のQOLの維持・向上:

婦人科がん治療後の患者さん(キャンサー・サバイバー)のQOLの維持・向上のためには細やかな,しかも長期間のフォローアップが必要です.更年期障害様症状,心血管系イベント,脂質異常症,骨塩量の低下などに対してはホルモン補充療法による早期介入が必要とされます.当科の「思春期・更年期グループ」との連携により治療を行っています.

7)遺伝性腫瘍:

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(Hereditary Breast and Ovarian Cancer: HBOC)やリンチ症候群が疑われる患者さんの遺伝子検査や遺伝カウンセリングに関して,当院の臨床遺伝診療室と連携システムを構築中です.

8)教育と資格取得:

産婦人科専門医以外にも以下の腫瘍関連の資格取得のための教育に力を入れています.日本がん治療認定医機構・がん治療認定医,婦人科腫瘍専門医,日本臨床細胞学会・細胞診専門医.

4. 臨床研究

患者さんから得られた臨床情報をもとに臨床研究を行い,一部は学術講演会や論文として発表しています.臨床研究は当院の「臨床研究審査委員会」の承認のもとに行っており,厳重な個人情報保護に努めています.研究内容の概略は外来でポスター掲示を行い,患者さん・ご家族さんに周知しております.主な研究を以下に示します.

・センチネルリンパ節ナビゲーションによる外陰がん患者の系統的鼡径大腿リンパ節郭
 術の省略に関する前方視的検討
・センチネルリンパ節ナビゲーションによる早期子宮頸がん患者の系統的骨盤リンパ節郭
 清術の省略に関する前方視的検討
・センチネルリンパ節ナビゲーションによる早期子宮体がん患者の系統的骨盤リンパ節郭
 清術の省略に関する前方視的検討
・子宮頸部上皮内病変に対する外来LEEP (Loop electrosurgical excision procedure)の治療成績
・子宮体がんIVB期の予後因子の解析
・変性子宮筋腫および変異型子宮筋腫と子宮平滑筋肉腫の鑑別におけるLDH、CRP、Dダイマー値の有用性
・胞状奇胎の掻爬回数と続発症頻度に関する調査研究
・卵巣明細胞がんにおけるPET/CTのSUVmax値とMRIのADC値の関連および予後に関する研究
・本邦における若年子宮体がん妊孕性温存治療についての調査研究

5.診療統計

腫瘍グループ:診療統計 [PDF]


周産期班

コースの実績

平成23年周産期統計を下記に示すように、ハイリスク母胎管理など高度先進医療を中心に行う大学病院ならではの臨床実習を積む事が可能である。
また周産期感染症(特に肝炎ウイルスキャリア妊婦およびHIVキャリア妊婦)の診療・研究実績が豊富で、将来的に周産期専門医と同時に感染症専門医を目指すことが可能である。
周産期統計:分娩数713例、帝王切開率38%、母体搬送181例

周産期母子医療センターホームぺージ


生殖医療班(生殖内分泌班)

1. メンバー

北澤 正文  学内教授
宮本 敏伸  学内准教授
星野 恵子  非常勤講師

2. 生殖医療チームについて

生殖医療チームといっても常勤医師は1名ですが、チーム構成を紹介します。常勤医師1名、非常勤医師1名、臨床検査技師2名、看護師9名から構成されて診療にあたっております。現在までのところ、連携がうまく噛み合い大きなトラブルなく経過しております。
診療は月、水、金を中心に行っており、外来は月曜日の午前、水曜・金曜の午後に行っております。生殖補助医療技術(assisted reproductive technology : ART)での採卵は水曜日に固定して行っており、胚移植は金曜日に固定して行っています。人工授精に関しては随時行う体制をとっています。

3. 診療の実際

生殖医療といいますと体外受精、顕微授精、授精卵凍結、融解胚移植を連想すると思いますが、他にも治療法は多々あります。大きく分けて3つです。
1つは一般的治療で、不妊相談、排卵のタイミング合わせ、排卵誘発剤(クロミッド・HMG製剤)を使った複数個排卵、排卵誘発剤+人工授精などです。
2つ目は妊孕性の改善を目的にした手術療法の実施です。不妊症の原因には子宮内膜症、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群(poplycystic ovary syndrome : PCOS)などがあります。子宮内膜症に対しては腹腔鏡下子宮内膜症病巣除去術、子宮筋腫に対しては腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術や子宮鏡下経頸管的子宮筋腫切除術、PCOSに対しては腹腔鏡下卵巣焼灼術(ディンプリング)などがあります。
3つ目は生殖補助医療技術で、体外受精、顕微授精、授精卵凍結、融解胚移植、配偶子卵管内移植です。残念ながら男性不妊患者に対しての治療は行っていません。
 毎年、五心会総会(同門会総会)で生殖医療チームの成績を発表していますが、ARTでの結果が主で、一般的治療や妊孕性改善手術での結果につては数字を出して報告しておりませんが十分な成果を挙げていることも事実です。

4. 診療統計

生殖医療チーム:臨床統計 [PDF]


女性医学班

1.メンバー

尾林 聡   学内教授
茂木 絵美  学内講師
添田 わかな 学内助教
望月 善子  特任教授

2.女性医学について

女性の平均寿命は86歳ですが、日常生活に制限のない健康寿命は73歳であるといわれ、生涯の終盤10数年は「不健康な期間」にあたることが問題となっています。女性医学はQOLの向上を目的として、女性に特有な心身の疾患を、主に予防医学的な観点から取り扱うことを目標としていて、この期間を短くすることは女性医学の大事な使命です。その原因のひとつとして、生涯を通じてホルモンの分泌が様々に変化し、その変化がしばしば体調や生活にも影響を与えていることがあげられます。

3. 診療の実際

治療対象としているのは、思春期から性成熟期、妊娠・出産、そして更年期、老年期とライフステージを通した女性ホルモンの変動にともなう体調不良や疾病です。そのなかには月経量をホルモン剤で調節して貧血をよくしたり、月経直前の体調不良を薬で改善したり、さらに更年期障害や骨粗鬆症、高脂血症を早期から対応することも含まれています。さらに最近では妊娠中の高血圧症候群や妊娠糖尿病に罹られた方は将来的に高血圧症や糖尿病になるリスクが高くなるため、早期発見のための追跡調査も予定されています。また先天性の婦人科系の疾患や奇形などに対しても、年齢に応じて必要な治療を行い、月経血流出障害のある膣中隔や処女膜閉鎖などに対する手術療法、さらに抗がん剤の副作用にともなう卵巣機能低下の治療も行っています。
治療内容は、ホルモン療法や漢方療法、さらには疾患毎の治療薬の使用が可能ですが、患者さんと相談しながら治療をすすめていく方針をとっています。

4.教育と資格取得

女性医学学会認定研修施設のため、女性医学学会専門医の取得のための研修が可能です。

5.研究テーマ

・女性ホルモンと血管の機能制御および動脈硬化
・治療中のQOLの変化に関する追跡調査

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